豆知識
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強風、乾燥下の悪戦苦闘 …糸魚川大火の見えない部分…
大火に至った経緯
昨年暮れも押し詰まった22日、新潟県糸魚川市で大火が起こった。午前10時30分ごろ出火のこの火事は、本来あってはならない原因による。
糸魚川市いちばんの目抜き通りにある中華料理店「上海軒」の主人は、開店前に油なべを加熱、その火を点けたまま一時、近所にある自宅に帰ってしまった。これが数分後に自然発火、一挙に燃え上がったもの。まずプロにあるまじき失態が生じた。折から、糸魚川市には冬季独特の強風が吹き荒れていた。さらに悪いことには、東側の山岳から下ってくるフェーン現象の乾燥風も加わった。気象的に、わが国日本海側の都市大火が起きやすい条件がこうして揃っていった。
油なべから立ち上がった炎は、驚くべき速さで中華料理店一帯の市街地に襲い掛かり、あたり一面を火の海に変えようとしていた。119番通報でいち早く飛び出して行った消防車はつごう6台。糸魚川市にとっては、水の出る消防車両を総動員して特別出場させたのだ。気象条件を考えての、最初から最大級の主力車投入。総指揮に当たった消防署長は、すでに大火になる予感を感じていたのである。
そしてこの火災は、消防署長の悪い予想通りに展開し、糸魚川市海岸沿いの街区は火の海と化していくのだった。付近の町々から応援部隊も続々駆けつけたが、最盛期に至った火勢は衰えず、延々30数時間燃え続けた結果、焼損面積で約40,000㎡、焼損建物144棟に上った。最近の都市火災としては、40年前の山形県酒田市大火(焼失面積15万㎡)以来の焼失面積を記録したことになる。
参考までに触れておくと、「戦後10大火災」という記録があり、これによると北海道岩内町を除いて、残りすべてが列島日本海側の都市火災ということになる。今回もその前例に漏れなかった。
そしてこれら過去の市街地大火をみると、いくつかの共通項が見つかる。
まず、最初に触れたように、冬場の強い季節風が列島山岳部から日本海側に吹き降ろしていること。これが日本海へ吹き抜けることによって、海浜部のまちは強風の吹き曝し状態になる。もうひとつは先述したフェーン現象で、これは小さな火種でも、容易に拡大する高温乾燥の大気を生む。この二つが相乗することによって、ボヤは一気に大火へスケールアップする、と言われている。
もう一点は、一部大都市を除いて、日本海側の街は総じて消防力が弱いことだろう。消防車を始め、消防用施設は「消防力の基準」によって基本配置数が決まっており、小規模都市は初動に投入できる消防車両、隊員総数ともに少ない。だから、第一出場の段階で火勢の極限防止につまづけば、それは一気に延焼拡大へと進展する。今回火災がそうである、というのではないが、この初動の段階での成否が、そのまま結果につながる例は少なからずある。
・・・次回に続く・・・
新坂 理一郎(フリーライター)「ヤマトプロテック(株) Yまがじん NO.196より抜粋」
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【番外編】 大阪国際消防防災展レポ ~後編~
【予告編】・【前編】から引き続き読んでくださり、本当に本当にありがとうございます!
いよいよ【後編】、最後のレポートになりました♪もう少しだけこの事務員S日記に
お付き合いくださいませ(^o^)
後編一発目はこちら↓↓
初田製作所さんです。
今回この防災展で私が一番興味があり、楽しみにしていたものが・・・・・
こちらのテスターカルミエです!
カルミエは見ていただいてわかるようにスケルトンで透明樹脂でできており、
こちらのテスターカルミエは訓練用の消火器具です。
この新型消火器具を拝見するのを何日も前から楽しみにしていたわたくし、事務員S☆
実物を見てテンションがあがり(笑)、さらに実際に放射体験をさせていただき、
ただただ感激。。。
デザインも魅力で、この消火器具は訓練用なので中身は水ですが金属製の消火器(消火器具)と
違い内部確認ができるので家庭はもちろん、公共の場でも安心して設置していただける商品
ではないかなと感じました。
続きましてこちら↓↓
MORITAさんの・・・・・
はしご車です!(全体の写真がなくてごめんなさい(泣))
人命・災害救助の際になくてはならない消防車両。
細部にまでさまざまな機能が備え付けられており、
その姿は言うまでもなく圧巻!!でした\(◎o◎)/
このようなところまでじっくりまじまじと見るのは初めてでした。(おそらくみなさまも?)
屋外で体験コーナーがあることをチェックしていたわたくし。
いざ行ってみると順番待ちの行列&たくさんのちびっこに年増なわたくしは泣く泣く諦めました(泣)
乗りたかったー!!
最後に!!こちらも普段拝見することが少ないと思います↓↓
消火器の中に入っている薬剤です。
弊社に御来店いただくお客様から時々,消火器の粉が出てそのあと(掃除)が悲惨でした(泣)という
お声をお聞きします。
消火器の粉末は微粒子の粉ですので掃除機で掃除すると目詰まりしたり故障する可能性が
あります。
無害ですが気になられる方はマスク&ゴーグルなど満身創痍でほうきで掃き集めて
掃除していただき、その後拭いていただくことをおすすめします!
いざという時の消火器ですが使用することなく対応年数を迎え、廃棄していただくことが一番だと
わたくしは思います。
予告編・前編・後編、長々と読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。
ご意見・ご感想ございましたらぜひぜひ弊社までお電話・メール・FAXを!
(苦情は凹むのでご勘弁をm(__)m)
また機会ありましたら突然現れますのでその時は宜しくお願いします♪
さようなら~(^o^)
~事務員S日記 おわり~
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【番外編】 大阪国際消防防災展レポ ~前編~
前回の予告編はいかがでしたでしょうか?
今回より前編・後編に分けて、わたくし事務員Sの個人的に注目した(テンションが上がった(笑))
ものを紹介していきたいと思います(^o^)
まずはこちら↓↓
浜口ウレタンさんの穴が開いても沈まないウレタン注入ボートです!
触らせていただきましたが固くてたくましく、水害の多い日本でこれから需要が増えるボート
じゃないかなと感じました。
定員数は8人だそうですがふくよかなマツ〇・デラック〇さんが8人乗られても大丈夫
だそうです(笑)
次はこちら↓↓
YOKOIさんの消防用ホースです。
消防用ホースは一般的な白色のホースしか見たことがなかった私はこの展示されているホースを
見て、「すごい!」と声が出ました\(◎o◎)/
色が分かれているので購入年や署別など分類したい場所などで使用するのに便利なホースです。
カラフルになったのは消火器だけじゃなかったんですね(笑) (無知で失礼m(__)m)
続いてはカラフル繋がりでこちら↓↓
岩崎製作所さんの消火器設置台です。
岩崎製作所さんの設置台はユニークなデザインが多く、カタログや案内で新デザインを
チェックするのをいつも楽しみにしてます(^v^)
今回注目したのはこちらの設置台です!
高級樹脂製で衝撃に強く耐熱性もある商品で、写真の手前3つは消火器という文字が
入ってますが会社名やマンション名を入れることも可能だそうです。
前編はここまで!!
拙い文章でスミマセンm(__)m
~事務員S日記 後半へつづく~
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大阪国際消防防災展 見学記
大阪では46年ぶりの国際消防防災展の展示会を見学に行った
会場は南港のATCだ
金曜の夕方というのに多くの消防関係者と業者でにぎわい満員だった
カタログを集めながら各ブースを丹念に見て回る
ヤマトプロテックのブースでドローンが置いてあった
遠隔操作で火災の上空から消火剤を散布するとのこと
それにしては小さすぎではないかと思う
【消火剤搭載ドローン】
トーハツのブースで水陸両用車を発見
アメリカからの輸入ものだ
面白そうなので説明とビデオを見せてもらう
川に入れば水上に浮き船になり陸上になればキャタピラで泥の中を前進する
アメリカの南部の洪水やハリケーン被害の時に活躍したそうだ
まるで海軍の上陸艇ようだ
さすがアメリカは軍事用の転用が得意で大がかりな災害資器材には強そうだ
【水陸両用車】
今回の防災展で私の目についたのはドローンと水難事故の救助艇だ
東北大震災を経験し地震による津波の被害が一番怖い
という共通認識が防災業界にできたのかと思う
海沿いの工場や公共の建物には是非必要なものかもしれない
強風、乾燥下の悪戦苦闘…糸魚川大火の見えない部分…(2)
市街地大火をなくすためには
糸魚川市は、北陸本線で富山県側から新潟県に入った最初の海側にある街だ。駅前から海に向かって開けた古い歴史をもつ土地で、地質学上はここから始まったフォッサ・マグナ(大地溝)が静岡まで走っていることで知られている。
古い歴史をもつ街だけに、市は昔ながらの家並をもつ道や、和風建築の屋敷町などを観光資源として売ろうとしていたようだ。だから、駅前から海岸に至るメイン道路周辺とは別に、造り酒屋など木造大建築物が蝟集する一角も観光用エリアとして整備を進めてきた。建物形態としてそれぞれ性格が違うものの共存を図ろうとしているから、防災安全対策の画一性を保とうとすれば、難しい面があるかもしれない。
街の安全維持を担当する消防機関とすれば、こうした二面性は防御に難しさがある。繁華な商業地域は出火危険が高く、屋敷町などは逆に、万一出火した場合の拡大危険が極めて高いものになる。もしこういう形態の街づくりを進めようとするなら、町並み保存や、寺社・歴史的遺構などが多い先進都市のハード面整備を見習わなければならない。それほど強力でもない消防力に全面的に依存するのは本末転倒だろう。
そしてその消防力でる。先述したとおり、各市町村の消防力(人員、機械、施設)は国が定めた基準によってその最低数が確保される仕組みになっている。基本的に、国はそれらの最低数が確保されていれば良しとする。誰でも分かるように、地方自治体にとって最も高くつくのは人件費であるから、どこの市町村も非常時用人材である消防職員の定数は基準ぎりぎりの最低数に過ぎない。
こうした実情が、地方都市へ行けば行くほど顕著に出る。消防車や救急車は何台もガレージで待機しているのに、消防署員は数えるほどしか詰めていない。要するに、何台かの車は、隊員が災害出場の種別に応じて乗り換え運用しているのだ。大都市のように、車種それぞれに決まった専従乗務員がいるのではなく、現場の種類によって隊員は車種を乗り換える。それで人員不足を補う作戦をとる。
こうした乗り換え運用を含めて、地方都市の多くは第一出場で現場へ出る車両数、隊員数は大都市に比べて大幅に少ない。最初から守勢に立たされる例もあって、こうなれば、いわゆる「初動時の劣勢」は明らかだ。とくに、地方都市であり、なおかつ密集度の高い地域に対するそれは、どうすれば克服できるのか。
が、これがなかなかの難問題。国土交通省が5年前から取り組みを始めた「地震時等に著しく危険な密集市街地」の設定によって、全国17都道府県下で5,700ヘクタールを選び出してはいる。ではそれをどうすれば地震時等大火の限定阻止につながるか、といえばまだ具体策は見えていない。
今回火災でショックを受けた総務省消防庁は、急ぎ学識経験者・実務専門家などを招聘して、強風下など悪気象条件下の「密集市街地の消防対策」検討を始めた。酒田大火以来40年を経過して、なお類似火災が出たことに大きなショックを受けている模様だ。強化充実が著しい、といわれる地方都市大火対策も、ことここに至ると、また新たな高齢過疎化などの問題も含めて、決して一筋縄ではいかないことがよく分かる。地方都市大火が、いくらかの対策充実によって、あるときピタッと再発生しなくなるとは考えにくい。
糸魚川大火も、過去いくつかの実例があって、なお今回火災を再発させた。火災予防に万全はあり得ないし、人為ミスによる限り、必ず再発するのもまた、火災なのである。それにいかに抵抗し得るか、これが今後の地方都市消防に与えられた課題だ。
ただし、何も悲観的になる理由はない。のちに記者会見で糸魚川市消防署長は「結果として大火になったが、それは物理的な劣勢も含めて、消防隊員の責任ではない。現有勢力で必死に戦った隊員たちを、私は指揮者としてこころから誇りに思う」と、涙ながらに述懐している。現段階では、地方都市大火を、抜本的に防止できる対策などあろうはずがない。しばらくは現有戦力で戦うしかない地方都市消防にとって、そこに懸けるのもまた一手段ではあるまいか。いや、それしかない。
そう、それが今回火災のいちばん深いところを衝いた、真実の声である。
新坂 理一郎(フリーライター)「ヤマトプロテック(株) Yまがじん NO.196より抜粋」